定年後
私が自分の部屋で本を読んでいると、家内が「来てテレビを観てごらん~」と呼ぶ。
観たくもないが行かないと後が怖い。こたつに入ってテレビを観る。
番組では、さびれた別荘地を買ってそこで定年後を過ごす定年退職者が増えているというものであった。別荘地と言ってもお金持ちが買うような別荘じゃなくて、庶民が夏の間過ごすようなちゃちいものであり、かつもう10年も20年も放置されていて半分崩れたようなものが土地付きで100万以下で売りに出ているらしい。
別荘を買った人の話では都会では暮らせないから田舎に住んだという。年金は国民年金だけで月6万となるとどう考えても都会では無理だ。
実を言って私の親戚も東京に出て長年働いてきたものの、定年後は田舎に帰ってアパート暮ししている人がいる。都会では家賃が高いから仕事を辞めてからは田舎の方がいいという。
しかし田舎は住み良いかと言えば、まず車がないと暮らしていけない。公営住宅でも民間のアパートでも交通不便なところが多い。電車はなくバスは1時間に1本どころか一日に何本という感じだ。お店も歩いて行けるところにあるわけではない。都市ガスもなければ光ファイバーもない。下水もない。汲み取りである。医療のサービスも都会のように身近にはない。
田舎の土地が安いのは市場価格なのであり、安いのは安いなりなのである。